戦後、志茂一丁目に住んでおられた方で、町で殆んど名前が知られていませんが、江戸学・民俗学の分野を独学で切り開いていった方がおられました。23番地に住んでおられた磯部鎮雄さんという方です。
もしこの方をご存じでしたら貴方は江戸時代にとても詳しい方か珍書の収集家ではないかと想像します。
磯部鎮雄の肩書は郷土史家、謄写印刷業で生計を立て、葛飾史談会会員で江戸町名俚俗研究会を主宰し、謄写印刷版で多くの出版物を世に送り出しました。
東京の本所に生まれ、小学校中退以降独学で江戸の町名、風俗、食文化、地誌など生活文化の細部に光を当てた研究者として評価された方です。その著作の主なものを次に掲げます。
著作
- 磯部鎮雄編、喜多川周之図『俚俗江戸切絵図』50枚、色刷り、有光書房
- 松圓主人述/磯部鎮雄校『東京地学往来』、復刻版、江戸町名俚俗研究会、
昭和42年 - 『官版藩名便覧』江戸俚俗研究会、昭和45年
- 『明治風俗末摘花』有光書房、昭和44年
- 『増補 安政夜話』5冊、江戸町名俚俗研究会、昭和54、55年
- 『文庫印・蔵書印・印影集』南洋文庫、昭和21年


- 「東部景勝名数聚」26頁、昭和5年
- 『幼な馴染唄』江戸町名俚俗研究会、昭和51年
- 磯ヶ谷紫江編集;磯部鎮雄解説、『名物荐せん:江戸東京』紫香会、昭和29年
- 『いかもの趣味 信仰と習俗の巻』いかもの会、昭和8年
- 『いかもの趣味 蒐集狂の巻』いかもの会、昭和8年
- 『凧の話』旅の趣味会、昭和15年
- 豆本『江都近在所名集』江戸町名俚俗研究会、昭和46年
- 歌集『浅草歌信』孔版画1葉入、挿絵11葉入、南洋文庫、昭和21年
- 『江戸東京名数集誌』、13冊、江戸町名俚俗研究会、昭和48年~昭和52年
- 根本治編:磯辺鎮雄補記、『江戸五色と東京都内不動尊巡り手引』ほともの会、
折込地図1枚+8頁 - 磯部鎮雄ほか編、『江戸食物独案内』江戸町名俚俗研究会、1958年
- 磯部鎮雄ほか編、『明治東京有名食品案内』江戸町名俚俗研究会、1959年
- 『明治銀虧か帖』明治の銀座通り・大正13年/現在の銀座通り、地図2枚、
1955年4月 - 『永禄二年小田原家所領役帳』、孔版、23頁、昭和4年
- 佐藤如天註、磯部鎮雄補注、『小田原衆所領役帳』、永禄2年、
江戸廻り葛西分、1968年 - 掌中叢書 17冊、南洋文庫、昭和23~25年
- 『隅田川往来』、江戸町名俚俗研究会、1970年
- 斎藤夜居著、『伝奇 伊藤晴雨』、青弓社、1996、解題:磯部鎮雄
- 『江戸から東京への俗信迷信集』江戸町名俚俗研究会、1969年
- 円朝考文集 第1、円朝考文集刊行会、1969、「怪談乳房榎の地理考証として」
- 同上 第2 1970、「「乳房榎」の風俗について」
- 同上 第3 1971、「新幡随院」
- 同上 第4 1972、「文七元結考・その他」
- 同上 第5 1973、「南割下水を挟んで」
- 同上 第6 1974、磯部鎮雄註「鰍沢雪の夜噺」
- 同上 第7 1977、「朝の旅日記“上野下野の記”」
もっと沢山の出版物がありますが、ほとんどが謄写印刷で発行部数が極めて少ないものが大部分です。
これらの本を北区の図書館で所持していませんので見る事はできません。私も多少コレクションしていましたが、その大部分は北区飛鳥山博物館に寄贈しました。国会図書館で見る事は出来ると思います。 これだけたくさんの本を出版された方ですが、多くの方の目に触れる本ではありません。ですから北区の著名な人を集めた本にも磯部鎮雄さんの名前は採録されておりません。とても残念に思い、自治会のホームページに載せ、町の皆さんに知っていただきたいと思いました。